第14話 疑惑
2006年 05月 23日
ラバ・ヌク族は木々を愛するカブ・ヌイ島の先住民の1つであった。
彼らは元々、コベル・ヌイ峡谷のそばにあるマヒカ森に住み、旧カブ・ヌイ帝国時代には手厚い保護を受けて、のびのびと暮らしていた。
しかし、政権がビュールに代わると、ビュールの政策により、住処の森はばっさいされ、捕まった半数ものラバ・ヌイ族は奴隷として重労働を科せられた。
その後、彼らはビュールの手の及ばないコベル・ヌイ峡谷の絶壁にせり出うように作られた木の村に住み、捕まった仲間と森の返還を求めて襲賊となった。
そんな中、国を追放され放浪し、偶然そこにたどり着いたマグーは彼らに保護され、仲良くなった後にヴォクシムに誘われダークレジスタンスに入ったという。
そして今、マグーは新しい仲間と共に、再び彼らに助けを求めにいった。
マグーはあの後、安全な身を隠せる所だと言って、コベル・ヌイ峡谷のラバ・ヌク族の村にオレ達を案内した。
オレはラバ・ヌク族は部外者に対して、とても警戒する部族だと聞いていたが、オレ達がマグーの仲間だと知った彼らは快くオレ達を出迎えてくれた。
その日の夜、ラバ・ヌク族の長老の家でオレ達は麻螺儀以外、集まって話し合いをした。
「なあ、ずっと不思議に思っていたんだが、なぜ三度もオレ達の行動が奴らに分かってしまったんだろう・・・。」
一人が言った。
「一度目はオレ達の奇襲作戦がばれてヴェルーチ先生の襲賊がやられた。」
「そして、二度目はダルタンにある隠れ家が信じられないくらい早く見つかってしまった。」
「さらに、ダルタンから古い工場に続く秘密の通路もばれて先回りまでされた・・・。」
「なあ、何かあると思わないか?奴らの捜索網がいくら大きいといえども、あんなに早くダルタンに隠れている事が分かったり、僕達しか知らない秘密の通路の出口に先回りするなんて不可能だよ。」
「そうだな・・・。」
「ひょっとしたらこの中に奴らに私達の情報を密告している裏切り者がいるんじゃないか?」
ヴェルーチが意味ありげに言った。
ま、まさか・・・オレは思った。
そんなオレの心情を悟ったのかヴェルーチは再びしゃべりだした。
「みんな、驚いているだろうが、そうすれば全ての説明がつくんだよ。私達の身近にいる者がリアルタイムに情報を国に密告すれば私達の居場所なんぞ筒抜けなんだよ。だから今、この時にも奴らは私達の居場所を突き止め捕まえに来るかもしれん。」
ここに居たみんなが顔色を悪くし沈黙する。
認めたくはないが、ヴェルーチの言っている事はスジが通っていた。
その後数分間、静寂が辺りを支配したが、ベトラがやっと、その静寂を断ち切った。
「それじゃあ・・・その・・・誰が僕達を・・・裏切っているんだ?」
「ベトラ君、君はいつも良い事に気づくね。」
ヴェルーチが言う。
「私が思うに、このダークレジスタンスはヴォクシム君が信用のおける仲間達だけで作った裏切りとは無縁の良い襲賊だろう。しかし、今共に戦っている友の中に、一人だけ、最近現れた身元も知れん男が一人だけいるのを忘れてはならん。」
オレ達の脳裏に一人の男の名前が浮かんだ。
麻螺儀
「ま、まさか・・・、でも麻螺儀はオレ達を助けてくれた!」
「ヴォクシム、あれはただのまやかしに過ぎん。あの男はああやって上手く私達の中に溶け込み、奴らに情報を密告していたんだよ。」
「・・・」
「つまりあの男はビュールの犬だったわけだ・・・。」
麻螺儀・・・裏切り者・・・ビュール・・・犬・・・オレの頭のなかでは色々なものが渦巻いていた。
第一四話でした。
衝撃的な展開になってきましたね。
写真も沢山入れたしw
ではでは~。
彼らは元々、コベル・ヌイ峡谷のそばにあるマヒカ森に住み、旧カブ・ヌイ帝国時代には手厚い保護を受けて、のびのびと暮らしていた。
しかし、政権がビュールに代わると、ビュールの政策により、住処の森はばっさいされ、捕まった半数ものラバ・ヌイ族は奴隷として重労働を科せられた。
その後、彼らはビュールの手の及ばないコベル・ヌイ峡谷の絶壁にせり出うように作られた木の村に住み、捕まった仲間と森の返還を求めて襲賊となった。
そんな中、国を追放され放浪し、偶然そこにたどり着いたマグーは彼らに保護され、仲良くなった後にヴォクシムに誘われダークレジスタンスに入ったという。
そして今、マグーは新しい仲間と共に、再び彼らに助けを求めにいった。
マグーはあの後、安全な身を隠せる所だと言って、コベル・ヌイ峡谷のラバ・ヌク族の村にオレ達を案内した。
オレはラバ・ヌク族は部外者に対して、とても警戒する部族だと聞いていたが、オレ達がマグーの仲間だと知った彼らは快くオレ達を出迎えてくれた。
その日の夜、ラバ・ヌク族の長老の家でオレ達は麻螺儀以外、集まって話し合いをした。
一人が言った。
「一度目はオレ達の奇襲作戦がばれてヴェルーチ先生の襲賊がやられた。」
「そして、二度目はダルタンにある隠れ家が信じられないくらい早く見つかってしまった。」
「さらに、ダルタンから古い工場に続く秘密の通路もばれて先回りまでされた・・・。」
「なあ、何かあると思わないか?奴らの捜索網がいくら大きいといえども、あんなに早くダルタンに隠れている事が分かったり、僕達しか知らない秘密の通路の出口に先回りするなんて不可能だよ。」
「そうだな・・・。」
「ひょっとしたらこの中に奴らに私達の情報を密告している裏切り者がいるんじゃないか?」
ヴェルーチが意味ありげに言った。
ま、まさか・・・オレは思った。
そんなオレの心情を悟ったのかヴェルーチは再びしゃべりだした。
「みんな、驚いているだろうが、そうすれば全ての説明がつくんだよ。私達の身近にいる者がリアルタイムに情報を国に密告すれば私達の居場所なんぞ筒抜けなんだよ。だから今、この時にも奴らは私達の居場所を突き止め捕まえに来るかもしれん。」
ここに居たみんなが顔色を悪くし沈黙する。
認めたくはないが、ヴェルーチの言っている事はスジが通っていた。
その後数分間、静寂が辺りを支配したが、ベトラがやっと、その静寂を断ち切った。
「それじゃあ・・・その・・・誰が僕達を・・・裏切っているんだ?」
「ベトラ君、君はいつも良い事に気づくね。」
ヴェルーチが言う。
「私が思うに、このダークレジスタンスはヴォクシム君が信用のおける仲間達だけで作った裏切りとは無縁の良い襲賊だろう。しかし、今共に戦っている友の中に、一人だけ、最近現れた身元も知れん男が一人だけいるのを忘れてはならん。」
オレ達の脳裏に一人の男の名前が浮かんだ。
麻螺儀
「ま、まさか・・・、でも麻螺儀はオレ達を助けてくれた!」
「ヴォクシム、あれはただのまやかしに過ぎん。あの男はああやって上手く私達の中に溶け込み、奴らに情報を密告していたんだよ。」
「・・・」
「つまりあの男はビュールの犬だったわけだ・・・。」
麻螺儀・・・裏切り者・・・ビュール・・・犬・・・オレの頭のなかでは色々なものが渦巻いていた。
第一四話でした。
衝撃的な展開になってきましたね。
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ではでは~。
by butanosyashinnx
| 2006-05-23 22:08
| ダークレジスタンスⅠ